05/05: GW集中連載! 真空管アンプを設計しよう! その6
一昨日は終日ゆっくりと休み、昨日は谷川史子[W]の初期短編集を読んで悶絶していました。本日からアンプ設計を再開します。
さて、前回までのところで、大まかな設計は完了しています。おさらいしてみると、二段構成の全段差動PPアンプ、初段は12AX7、出力段は6C4C、負帰還なしで利得が8.3倍でした。
残るは、電源回路の設計です。整流、平滑後におよそ300Vを得られるB電源が必要です。また、6C4Cのフィラメントはできれば直流点火したいところ。6.3V 1Aを4本まかなえる整流回路も必要です。あとは12AX7のヒーター電圧ですが、傍熱管なのでこれは交流のままでOK。ここでは整流、平滑の詳細については割愛します。
忘れてはならないのが定電流回路です。初段には0.4mAが2本で0.8mA、出力段には60mAが2本で120mAの定電流回路が必要です。前者は定電流ダイオード、後者はトランジスタか三端子レギュレータによる定電流回路がよいでしょう。
ここで注意があります。初段の定電流回路をドライブするための電圧が必要です。初段グリッドは-1.5Vですが、この1.5Vだけでは定電流ダイオードは期待通りには動作しません。別途-5V程度のC電源を用意するか、『情熱の真空管アンプ』にあるようなダイオードによる電圧降下を利用したマイナス電源が必要です。
も一つ注意しときますと、このままでは出力段の定電流回路に掛かる電圧が45Vにもなります。ここに120mAですから、電力は5.4Wですね。これをすべて定電流回路に掛けると、半導体がパーになります。半導体に食わせるのは、せいぜい1W程度にして、残りは抵抗に任せます。
しかし、抵抗に5W弱食わせるのも、発熱の点から問題がありそうです。後述のグリッド電圧を-25V前後、カソード電位を20V前後、という風に分けることで、発熱については解決することができます(ただし、別途C電源が必要になります)。
これだけあれば十分でしょうか。いえいえ、もう一つ、大切なことが残っています。それは、出力段のDCバランスです。出力トランスに流れる電流値が上下で異なるとトランスが磁化してしまい、期待する低音域が得られなくなります。ではこれをどうやって解決するかと言うと、出力段のグリッド電圧を上下する回路を追加し、バランスを取るのです。真空管は工業製品ですが、意外と特性がバラバラなものです。
ではどうするか。『情熱の〜』にもあるような、片側のグリッドをアースして、もう片方のグリッドを0V〜+5V程度に調整できるよう分圧するのが簡単です。ただし、この方法だと、場合によっては上下の球を入れ替えたりする必要もあります。別途C電源を用意できるのであれば、上下の球を同時にバランスするようなグリッド調整回路を用意しましょう。こちらの方法を用いれば、球を差し替える必要はなくなります。
かなり駆け足になりましたが、これで一通りの真空管アンプの設計が完了したことになります。しかし、まだまだ改善の余地があります。という感じで続きます。
